2025/01/16 00:47

最近、何もかも値上がりで飲食店が次々に閉店という記事を頻繁に目にしますが、コーヒーの業界も生豆の価格上昇が収まらず同様のことが起きています。特にインドネシア(マンデリン)は、仕入れる度に「どこまで上がるの!」と驚き続けています。

先日は商社から「国際コーヒー相場の上昇傾向は続いており、50年ぶりの高値更新、要注意です!」と知らせが来ました。更に「コーヒー業界の多くの人は、将来の価格下落を期待して値決めを延期することを選択しているが、価格が高騰し続ける場合、この戦略は重大な結果をもたらす…、注意喚起…」と内容は続いていました。

私は常々、珈琲は気軽に楽しむものだと考えていますので、これまで出来る限り値上げを低く押さえてきましたが、最新の生豆の動向を見ていると、努力だけでは販売価格の維持が困難だと判断しました。その為、誠に心苦しいのですが、1月16日より価格調整(再値上げ)を行わせていただきます。

1.値上げの大きい銘柄

「ギルドブレンド、アロマブレンド」
昔の喫茶店には必ずと言って良いほどブレンドがありました。
ブレンドは「味に偏りがあったり、風味が乏しい豆=安い豆」を組み合わせてバランスを取り美味しくする作業で、その店の技術が詰まっているにもかかわらず、低価格で提供されていました。
ところが、今はフェアトレードなどの普及もあり、ある程度の品質を持っていながら安い豆というのは、あまり存在しないのです。
私は学生時代のアルバイトから計算をすると、コーヒーに携わり43年の古い人間のため、ブレンドは昔のようにサービス価格で提供したいという思いから低価格販売を続けてきたというのが正直なところです。
なるべく低価格という気持ちは変わっていませんが、以前と比べると値上げ率が大きくなりました。

「インドネシア(マンデリン)」
当方が扱うシナールはマンデリンの中でもトップレベルの風味だと思っています。実際に仕入れ先のマンデリンの中で最も高額ですが、私は十数年シナール一筋です。
一般的にマンデリンはアーシーと表現されます。アーシーというのは「土のような香り」ですが、裏を返すと「土臭い・泥臭い・粗野・野生的」といった、野蛮、野暮ったさを持ち合わせています。そしてコクとは違った重さも感じます。
ところがシナールは、マンデリン特有のアーシーさをしっかりと持ち、強い個性やコクがありながらも端正で品があります。
シナール以外のマンデリンが「陰」だとすれば、シナール(光)は「陽」、この明るさが、深煎りでも重くなり過ぎない華やかな風味につながっている気がします。
マンデリンシナールは当方の人気トップ3に入る豆ですし、このシナールの旨さを多くの人に味わっていただきたいと、他店と比べても安く販売を続けてきましたが、仕入れ価格の上昇があまりにも激しい為、値上げ率が大きくなりました。

「神楽坂ブレンド、ダークブレンド」
上記のブレンドの内容と共通する部分と、仕入れ価格大幅上昇のインドネシアを配合しています。
また、ダークブレンドに至っては、焙煎による目減りとハンドピックで容量が大きく減少する為、値上げ率が大きくなりました。

2.価格を据え置く銘柄

「コロンビア、タンザニア」
今のところ仕入れ価格は安定していますが、先行きは不安です。

「ゼッカブレンド」
ブレンドの低価格で提供するという考え方を外し風味優先で作ったからです。

その他の銘柄は仕入れ価格に応じて値上げを行いました。また、生豆価格の変動により随時価格を更新する場合があります。
世の中、様々な物が値上がりをしている中「コーヒーまでもか!」と落胆、ご迷惑をお掛けしますが、何卒、事情をご理解いただき、今後ともご愛顧のほど、宜しくお願いいたします。

今回の写真は妻の趣味、多肉植物たちです(これでも、ほんの一部、笑)。

私がオーディオルームに籠っている間、妻は黙々と寄せ植えを楽しんでいます。沼な夫婦ですね、笑。